ベーシック、上質素材をコンセプトにニットに特化した人気ブランド「SLOANE(スローン)」。ブランド誕生からまだ4年にも関わらず、お洒落プロたちから熱い支持を受けている理由を知りたく徹底取材!「ニットは脇役で主役を引き立てるもの」と語る、ご自身もニットが大好きな、ブランドディレクターの小峰明彦さん。他のブランドとは違うニットづくりへのこだわりとは?

ニットだけのブランドをはじめた理由とこだわり
以前から輸入製品卸しの仕事をしていたのですが、ニットが個人的に好きで、その頃から構想がありました。今年で4年目を迎えます。4年前に始めた頃、ウィメンズのニットって体にフィットするものがすごく多かったのです。輸入製品の多くは、日本人用に丈や袖を短く、身体にフィットする方がよりセクシーと言われていた時代だったんですね。
でも、本来のベーシックなニット製品が持つ、着丈や肩幅や身頃などが適正なサイズ感で、ニットのなかで身体が泳ぐほうがセクシーだと思っていました。ですので、自分が作るのであれば、基本的なディテールを押さえたベーシックなものをつくりたいと思いました。
さらに、ウィメンズだけでなく、ユニセックスで着用できる5サイズ展開でニットを作ったら、それぞれの好みのサイズで好きに着ていただき、定番として大切に着てもらえるかなと思ってスタートしました。

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すべてベーシックな形が基本
あくまでもベーシックな素材に、ベーシックなデザインを合わせ、今も変わらず作り続けています。サイズも1〜5までという、ユニセックスで着られるよう展開しています。
みなさんが想像されるクルーネックだったり、Vネックだったり。素材もシルクだったり、秋冬だったらウールの天竺だったり…。

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ユニセックス使用でサイズを5展開にした理由
例えば、1だったら、女性がジャストで着ていただくのもいいですし、2とか、3でちょっとゆったり目に着ていただくのもいい。着こなしによってサイズを選べたら楽しいと思います。僕が着ているのがサイズ5。メンズでいうXLぐらいです。

サイズ1はレディースのSMサイズ、サイズ2がMLのイメージ。サイズ3以上がメンズサイズですが、女性の方でもお買い上げが多いです。
大きいサイズを女性がドロップショルダー風に着るのも素敵ですよね。女性の方って大きいサイズ着たとき、袖をまくる方が多いじゃないですか。なので、袖口にはテンションを強めるために、スパン糸を入れて伸びにくい仕様にしています。形もデザインもベーシックなので、サイズはお好みで選んでいただき、コーディネートの名脇役として着てもらえたらと思っています。

ニットブランドならではの特徴
スローンの製品のほとんどは、フルファッションという編み方です。身頃、袖、衿を別々に編み立てて、最後にリンキングという手法でつなげることにより立体的につくることができます。
安価なニットだと、生地のようにカットして縫うのですが、着ていくと型崩れもしますし、緻密なサイズ調整もできません。フルファッションなら肩の傾斜、肩周りも立体的、袖の付け方も、アールを入れて編んでいるので、着たときにストレスがないんです。その証は、袖のまわりにある減らし目という、ポツポツとしたファッションマーク。どの部分にファッションマークを入れるのかを考えてデザインしています。

これはスローンのなかで一番細かい30ゲージの糸を詰めて編んでいるので、非常にきれいなドレープがでます。毛玉にもなりにくい糸を使用していて、ケアもしやすく使い勝手の良い一枚です。

オールシーズンで人気のアイテム
真夏以外のシーズンレスで楽しめるこちらのシルクのニット。光沢があり滑らかな風合いが特徴。こちらも美しいドレープ性を持つ製品です。このシルクを始めとしてスローンの製品の全てを日本で作っています。
その理由としては、作り手の距離感が近く、物づくりに対して細かいニュアンスを共有できるからです。一つのデザインを完成させるには時間がかかり、ものによっては何度も修正を重ねることがあります。こういう場合にも日本人のメンタリティーを理解してくれて対応してもらえるので助かっています。


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その他の人気定番アイテム
春夏でしたら、コットンの天竺や超長綿のものですね。クルーネックやカーディガンなどのベーシックなデザインが中心で基本変わりませんが、形は年によって微修正はしています。
素材へのこだわりを教えてください
素材も以前よりもよい素材を使っていますが、価格はそのままで。ですが、世の中にもっともっといい素材ってたくさんあるんです、この超長綿もこれより番手が細く、海島綿とか、より滑らかなものはあります。もちろん、より高級な素材で作ることはできるのですが、着用する時にセンシティブになるのがどうかと思うので、ある程度のクオリティを保ちながら、日常で着用しやすいものを目指しています。最上級ではなく上級、上質をコンセプトにしています。
形はベーシックですが、色の展開は?
色もベーシックが中心ですが、明るい色は春夏に多いですね。HAPPY PLUS STOREさんでは、ベージュ、黄色などが人気ですかね。形がベーシックなので、いろんなブランドさんからも別注色のオーダーをいただくことも多いです。

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ベーシックなアイテム以外で人気の商品は?
こちらのニットのセットアップは HAPPY PLUS STORE さんにも別注いただいている商品ですが、贅沢なリゾート地をイメージしてつくりました。
ヨーロッパなどの素敵なリゾート地で過ごすなら、Tシャツではなく、ぜひニットを着ていただけたらいいなと思います。ニットならラフになりすぎず、そういったシチュエーションでも十分活躍してくれるのでは?と思うんです。ニットはカジュアルとお出かけのフリ幅が広いですよね。パンツもミラノリブなのである程度しっかりしています。

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カーディガンもセットアップで人気
メンズライクに作っていて、丈とかもたっぷり。ボタンを閉めず羽織っても素敵です。最近パンツINで着る方が多いですが、きれいにブラウジングできます。
ボタンも天然の貝ボタンでよいものを使っています。こちらはシルクで、糸単体でもとてもいい糸です。真夏はさすがに厳しいですが、保温性がありますので、春、秋、冬に使える万能素材だと思います。

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隠れた人気アイテムにTシャツも!
ただ日本の真夏はやはりニットだと厳しいので、おすすめしたいのがきちんと感のあるコットン天竺のTシャツです。色は、ホワイト、ブラック、カーキ、ネイビーのベーシックな4カラー。素材のこだわりは、着ていて心地よくなめらかな超長綿を使っています。価格がそんなに安くはないので、機能の部分もお客さまに満足いただけるよう工夫しています。
例えば、30回洗濯機で洗っても光沢をキープでき、型崩れしにくく、UVカットを施しています。UVカットは、糸自体にコーティングしますので、日焼け防止はもちろんのこと、白Tの黄ばみ防止効果にもなっています。あとは1枚で着ても様になるよう、パターンにもこだわっています。また、サイズもニット同様に1〜5までの5サイズ展開です。きちんと肩にフィックスするサイズが選べ、袖もやや長めにしているので、気になる二の腕もカバーします。

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Tシャツも縫い方に美しいこだわりが
1枚で着たときに、下着っぽい縫製にならないようにしました。裾の処理も三つ折りで広めに取り、丈はあえて長めにしています。お好みのサイズ感で、着てもらえればと思います。首周りも比較的詰まっていてきちんと見えるので、カジュアルすぎないところが特徴です。


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ニットと重ね着しても可愛いTシャツ
衿周りのサイズ感をニットと合わせて作っているので、スローンのニットとのレアリングで、衿元と袖にTシャツがほどよくのぞくサイズバランスになるよう計算しています。


スローンニットの証を背中にデザイン
せっかくだったらスローンのニットを着ている目印をつけようと思い、背中部分にタック編みを施しバーをつくりました。

ニットはあくまでも主役を引き立てる脇役、と思ってつくっています。シーズンレスで活躍するし、本当に便利です。みなさんもっともっとニットを楽しんで着てください!(笑)
撮影/吉岡真理 文/土橋育子 構成/内山しのぶ