MYスタイルを作る最愛アイテムについて聞きました!
気になるあの人の
“スタンダード”
Vol.3 福田麻琴
おしゃれにスタイルがあり、自分に似合うものを知っているファッションのプロたちに、“MYスタンダード”について取材する連載がスタート! 思わず手が伸びて、袖を通すたびに自分を託せる信頼感が生まれ、一生付き合っていくつもり! そんな魅力が詰まったアイテムについて、その方の視点で語っていただきます。第3回目は、スタイリストの福田麻琴さんにお話を伺いました。
ふくだまこと●女性誌や広告、カタログ、タレントのスタイリストとして活躍する中、ブランドのディレクションやコラボをはじめ、執筆活動など幅広いジャンルで才能を発揮。近著には「MY BASIC,MY ICONS 10年後も着たい服」(イースト・プレス)がある。
Vol.3
福田麻琴さん
福田さんと言えば、ベーシックアイテムを輝かせるスタイリングの名手で、フレンチシックをベースにした自身の着こなしも注目のまと。
「おしゃれの目覚めは、父が履いていたリーバイスのデニムとコンバースのスニーカー。経年変化がカッコいい“アメカジ”に夢中で、上野のヴィンテージショップに通い詰めでした。そんなある日、お店の片隅で見つけたのが、プチバトーのTシャツ。Tシャツといえばヘインズだった私が、12歳用をピタピタに着るのがたまらなく新鮮で、可愛くて! “フレンチ”の洗練を受けた最初の出来事でした」。
その後、縁あってフランスに留学。日本では若者もブランドバッグを持つのがステータスだった時代、パリの女の子たちはブランドものとはほぼ無縁。ときどき見かけても、ママからの借り物やおばあちゃんから譲り受けたものだということに衝撃を受けたと言います。
「今までの価値観が大きく変わりました。それは服に対しても同じで、“自分らしければ、それが一番!”と思うきっかけに。私にとってのスタンダードはこの先も変わることはなさそうで、いつでも“ただいま”と戻れるおしゃれのホーム。ここが整っていればおしゃれの軸がブレないし、新しいものに挑戦する時も迷わず私らしく着こなせるんです」
MAKOTOʼs
STANDARD
01
シャツ
女性が着ることで生まれる“色気”をカッコよく纏いたい
「シャツの好きな理由は、メンズライクなアイテムを女性が着ることで生まれる“隙=色気”。シャツにジャケットやパンツを合わせて、一つ多めにボタンを開けた胸もとにはパールのネックレス、そんなマニッシュな女性に昔から憧れています。パリッとしたコットンのオーバーサイズが定番でしたが、今では柔らかでツヤのある素材も増えてきました。素材にはバリエーションが出ましたがクローゼットの中は、ホワイト、ブルー、ストライプにドットのみ。そこは譲れないのです(笑)」
人気ブランド、シンゾーンの定番シャツといえばこちら。ネーミングの通り、メンズシャツをそのままサイズダウンしたようなコットン素材のBDタイプで、ややオーバーサイズ。ボタンの開け閉めでまじめな感じにも女っぽくも着られ、Tシャツの上にはおってもサマになります。
THE SHINZONE DADDY SHIRT ¥19,580
MAKOTOʼs
STANDARD
02
黒のパンツ
履いた途端、シックでエレガントが叶うマイベストパンツ!
「クローゼットには、いろいろなシルエットの黒いパンツが山ほど(笑)。これさえあれば大丈夫! そんな大きな信頼を置いています。トレンドによってシルエットは変化しても、どんなトップスでもカッコよく仕上げてくれる、そんな懐の深さも魅力です。白いシャツを合わせたら、チェーンバッグやジュエリーを少し多めにつけて女性らしい色香をプラス。フリルブラウスを合わせた時は、黒いパンツが甘さを和らげて自分らしい居心地を作ってくれるんです」
パン職人が履いていたパンツがルーツのベイカーパンツは、ワークパンツの中でもカジュアル過ぎずすっきりとした印象。厚手素材のハイウエスト&テーパードシルエットはおなか回りが程よくフィットし、ヒップや太ももには適度なゆとりがあるので履き心地も抜群。脚長効果も期待できます。
THE SHINZONE ベイカーパンツ¥23,100
MAKOTOʼs
STANDARD
03
デニム
色やシルエットを常にアップデート!
「全ブランド制覇したんじゃないかというくらい履き続けているデニム。今も週3は履いています。シルエットにはトレンドが表れやすいし、今はブルーよりブラックが気分だけど、春はライトブルーが履きたくなるし、まだまだ1本には絞り切れないんです。手持ちのアイテムがシンプルだから、デニムこそこまめにシルエットを更新したい。これからも履き続けて、デニムが似合うように歳を重ねていきたいですね」
福田さん渾身のデニムは、レッドカード トーキョーの大ヒットデニムをベースに、ノンストレッチ生地とフラット靴に合わせやすい足首がチラッと見える丈感で別注。この春、黒パンツ感覚で履けるストーンウォッシュブラックが新登場。カジュアルはもとより、きれいめな着こなしにも活躍。
RED CARD TOKYO 【LEE別注】【福田麻琴さんコラボ】スウィングデニム ¥23,100
MAKOTOʼs
STANDARD
04
ジャストサイズなニット
絶対バランスの変化でニット選びも変わりました
「ヒップが隠れるくらいのオーバーサイズにスキニーパンツが自分の絶対バランスでした。それがワイドパンツに魅せられてから、ジャストサイズのニットの割合がどんどん増えていきました。ピタピタすぎるのは厳しいけれど、程よく肉厚でコンパクトなニットをワイドパンツにインしてベルトをする。このバランスが心地よくて。クローゼットの中のニットは黒や白、黒白ボーダーばかりだけど、春は赤も着てみたいな」
まだ肌寒い春先にもちょうどいい、保温性の高い薄手ウールのハイゲージニット。首もとにフィットするシンプルなラウンドネックに肘あてがデザインポイントになってこなれ見えも。1枚で着ても、シャツを重ね着しても、ボトムスにニットインしてももたつかずにすっきり着られます。
SINME エルボーパッチニット ¥37,400
MAKOTOʼs
STANDARD
05
ボーダー
エレガントに着るボーダーが目標!
「初めてのボーダーは、上野のアメカジショップで出会ったセントジェームス。今では自分でも何枚持っているのか分からないほど(笑)。何十年も着続けてきた今では、襟ぐりの開き具合や配色、ボーダーの太さなどでカジュアルな中にも女らしさが感じられるものに惹かれます。合わせるパンツも、デニムより黒のスティックパンツが気分。ボーダーをエレガントに着こなせたら素敵」
マリンウェアを得意とするフランス、ブルターニュの老舗ファクトリーブランドとのコラボボーダー。配色は今までにない、辛口の黒×白。やや長めの着丈とゆったりとしたサイズ感など、福田さんのこだわりで鮮度高く着こなせます。肌タッチの柔らかいコットン素材を使用。
Armor-lux 【福田麻琴さんコラボ】ボートネックロングスリーブ ¥18,700
MAKOTOʼs
STANDARD
06
かごバッグ
10年後の“もっと似合う”を楽しみに育てたい
「パリの週末、マルシェで買い物をする男性たちがみんなマルシェかごを持っているのを見て衝撃を受けました。かごバッグ=夏のおしゃれアイテムと考えていた私は、これが本来の使い方だと納得。以来、ますますかごバッグが好きになるにつれて各国のかごのルーツなども気になったりして、少しずつ買い集めました。断捨離することになっても、かごバッグだけは捨てられません。何故ってこれから歳を重ねると、ますます似合うようになると思うから」
おしゃれ通が通うセレクトショップの大人気アイテムで、天然素材をしっかりと編み上げたワンハンドルのバスケット。めずらしい縦長のフォルムに黒とピンクの大きなタッセルがアクセント。内側は布張りで、ポケットや荷物を隠す上辺カバーつき。パリジェンヌ気分で持ちたい一品です。
Pale Jute weekend basket(Large)+別色タッセル(ピンク) ¥32,780
MAKOTOʼs
STANDARD
07
スカーフ
おしゃれしたい気持ちをスカーフに託して
「初めてパリへ旅した時、男性も女性も老いも若きもスカーフを身に着けていることに驚きました。その頃、自分にはまだちょっと早いと思いながらも、思い出にと空港のショップで一番控えめな色使いのスカーフをお土産に。スカーフがなくても着こなしは完成するけれど、おしゃれをしたい気持ちが表れるもの。今は服と同系色のスカーフをなじませてつけるのがお気に入りです。10年後は派手色に惹かれているかもしれませんね」
美しい光沢のあるドレープと通気性、夏でも心地よく感じられる肌触りを最優先して編み上げたオーガニックラミーのニットスカーフ。80×80cmサイズだから、さまざまなアレンジが楽しめます。薄着になるこれからの季節に、着こなしにスカーフでニュアンスをプラスして。
ASAUCE MELER ハイゲージラミーニット トリミングスカーフ ¥15,950
MAKOTOʼs
STANDARD
08
メリージェーンシューズ
マニッシュコーデにひと匙の甘さを
「バレエシューズも大好きですが、甲に1本ストラップがあるだけで懐かしい気持ちにキュンとします。子どもの頃から憧れ続けたプリンセス願望が、ちょっとだけ叶った気持ちになるからでしょうか(笑)。マニッシュなコーディネートが好きですが、この靴を履くことで加わるほんの少しの甘さがたまらないのです。今の季節はソックスで履くのがお気に入り。大人の乙女心が満たされるのを感じます」
ガーリーな甘さとクラシカルな魅力を併せ持つ、3本ストラップのメリージェーン。ストラップには伸縮性があるので着脱しやすいのもポイント。柔らかく艶やかなエナメルにすっと伸びたラウンドトゥが映える5㎝ヒールは、パンツにもスカートにも合わせやすく、ソックスコーデもおすすめ。
FABIO RUSCONI パテントヒール ¥38,500
COLUMN
書くことは自分を表現するもう一つの手段
福田さんの書く文章はスタイリング同様、ファン多数。「そのときどきで感じたことや思ったことをInstagramにアップするうちに、スタイリストとしての仕事のほかに、書くということでも自分を表現できるのだと気づきました。それはとっても新鮮な思い付きで、そのことを周りにお話ししているうちに、書籍のお仕事が舞い込みました。構成を考えてスタイリングして、そして原稿も書くのは初めての経験。ノートパソコンを抱えてカフェへ通ったり、息子の習い事の待ち時間などを利用して、約1カ月で書き上げたのがこちら。ファッションに対する今の気持ちを素直に書けたかな」。この連載にふさわしい1冊、是非読んでみたい。
取材・文/向井真樹