石井佳苗さん×安藤雅信さん
珈琲時間が楽しくなる、
ドリッパーとピッチャー
珈琲時間が楽しくなる、
ドリッパーとピッチャー
安らぎを求め、コーヒーを一杯。そんな大切な時間こそ、妥協のないお気に入りを。そんな思いから、石井さんがずっと愛用していたのは、安藤雅信さんの作品でした。美しく、使いやすく、細部にまでこだわって。LEEのためだけに作られた、特別な品です。
ドリッパーから広がる芳醇な香り。「安藤さんのピッチャーを使う楽しみのひとつは、ドリッパーからコーヒーが落ちるときに、カラカラと反響する心地よい水音。視覚の美しさに加えて、耳にも心地がいいんです」(石井さん)
毎日使うものだから、心豊かになるものを
きっかけは、石井さん愛用のピッチャーでした。安藤さんが何気なく発した、「僕、これでコーヒーを淹れているんだ」のひと言。そこでさっそく、石井さんも実践。確かにこのサイズは、来客が多いときも一度にコーヒーを淹れられて重宝。何より惹かれたのは、ドリッパーを重ねたときの姿です。「すでに安藤さん作のドリッパーも持っていたのに、その使い方には気づいていなくて。ただ、私のピッチャーは本来セットだったものではなく、ぴったりとはおさまらない。そこで今回、『あのピッチャーの雰囲気を踏襲し、それに合うドリッパーを』と頼んだんです」コーヒー好きな2人らしく、ディテールにもこだわりが。まず、ドリッパーは熱い状態で持つことも多いので、把手の形に工夫を凝らして熱さを感じにくい設計に。そしてコーヒーが冷めないように、ふたをつけることでも意見が一致。加えて、淹れた分量がお湯を注ぎながらでもわかるよう、美しく小さな印をつけました。凛とのびやかな白。把手のデザインを統一することで生まれた唯一無二の存在感と、手仕事ならではの表情。コーヒーが落ちる音まで心地よい、理想以上の作品です。
ドリッパーの底部はピッチャーに合わせてやや大きめにデザインされ、まっすぐにのせたときはもちろん、スライド時にも安定感が。また、今回使用した釉薬“マット釉”は、使い込むことで生まれる貫入や着色など、経年変化を楽しめるのも魅力。使う頻度、環境によって、自分だけの表情に育てられます。注ぎ口は繊細に整えられ、すっきりと水ぎれもよい。
CLOSE-UP
底面にも釉薬をかけているため、テーブルなどへの当たりがやさしく、造形としての一体感も生まれる。
ふた付きでコーヒーが冷めにくい。注ぐときは外すか、手で押さえて。
直線の溝を入れた円錐型のドリッパーは、雑味の少ないすっきりしたコーヒーが淹れられる。
把手は丸みがあり、下部は直線に近いデザイン。熱くなった本体に触れずに持てる。
分量を確認しながら落としたい場合は、ドリッパーを少しずらして目盛をチェック。
200ml、400ml、600ml、800mlの4カ所に目印が。目盛は銀彩で、電子レンジが使用可能に。
- スタイリスト
- 石井佳苗
- Kanae Ishii
雑誌や書籍、広告など多分野にわたり活躍。独自の審美眼による、インテリアを中心とするライフスタイル全般への提案が好評。国内外の作り手との交友関係も広く、自身のセレクトによるエキシビジョンなども行う。LEEの連載「石井佳苗の『インテリア名品』」も大好評。https://www.kanaeishii-stylist.com/