季節の行事にはいとこや友達が集う、にぎやかな家庭で育った宇藤さん。子どもたちにも、四季の楽しい記憶を刻んでほしいと話します。「園や小学校から届くお便りで、季節の行事を知らされます。知ったからには、ふさわしい衣食住を大切にしたい。けれど全部やろうと思ったら大変。気合いを入れずに、普段の延長で楽しめるのが理想です」。そんなときに「器が助けになる」と宇藤さん。「秋には、土を感じる手ざわりのある器がおすすめ。お団子や野菜が、つるりとした磁器よりもあたたかみを帯びて秋を香らせてくれます。とっておきの器だけれど、ハレとケの垣根がない一枚を味方にできたら母は心強い。十五夜にはススキを添えて、準備は完璧です。行事の意味を覚えていなくても、楽しい記憶が残れば今はいいかなって思っています（笑）。器を選んで食卓に並べるのも季節を楽しむことだと、子どもたちに伝わっていたらうれしいです」

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• 宇藤えみさん

親しみやすく、品がいい。
普段のワンプレートごはんやおもてなしにもぴったり。

笠間の陶土を使い、“石器のようなイメージで”制作されているという小林耶摩人さんの器。「おにぎり、漬物、卵焼きを盛る大人プレートとして愛用していますが、時におもてなしの大皿としても活躍。親しみやすさと、よそ行きの品のよさ、両方を自在に行き来できるところに助けられています」（宇藤さん）。同じ素材のカップはお茶時間を彩る湯のみとして、またはおかずを盛る小鉢としても。

静けさも華やかさも受け止めてくれる、
懐の深さが素敵です。

「小林さんの作品はざらりとした手ざわりから自然の感触が伝わり、暮らしをともにしたいものばかり。薄く緑がかった美しい花器は、どんな花にも合います。ススキのような静かな植物や贈り物のカラフルな花束も素敵。重厚感があるので、細い枝物をスッと一本生けるのもいい」（宇藤さん）。口が広すぎないので、生けたときのバランスが決まりやすい絶妙なシルエット。

子どもの手にもスッとなじむ
木のぬくもりが気持ちいい汁椀は食卓の必需品。

山中漆器が誇る職人の技術を踏襲し、現代の食卓に合うデザイン性の高い漆器を生み出す我戸幹男商店。華奢で繊細な高台が美しいAEKA（アエカ）は、毎日の食卓に洗練感を、特別な日にはほどよい緊張感を持たせてくれる振り幅の広い椀。そのうえ、子どもの手にすっぽりと収まる安心感も。「おひたしやアイスクリーム、白玉ぜんざいなどを盛ったときにもちょうどいい深さも魅力」（宇藤さん）

真っ白より緊張しない穏やかな白の器は、
どんな料理も映える名品です。

陶芸家・伊藤環さんがプロデュースするプロダクトブランド、1+0（イチタスゼロ）。「あたたかみの中にスタイリッシュさが香る伊藤さんの器。盛りつけの腕に自信がなくても、料理がきらっと輝くんです」と宇藤さん。今回は、伊藤さん作の「デコプレート」をベースに、プロダクト用にデザインした角皿２タイプをセレクト。料理を引き立てるほどよいリムや盛りつけやすい深さがあるので、和食のほか、どんなジャンルのお料理とも相性抜群です。真っ白ではなく乳白色なところも万能さの理由。