【世界選手権2022】鍵山優真、宇野昌磨、友野一希、チャ・ジュンファン…見どころと注目選手をご紹介【フィギュアスケート男子】

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世界選手権2022

史上稀に見るハイレベルな戦いが繰り広げられた北京オリンピックから1か月。
シーズンの集大成となる世界選手権がフランス・モンペリエで開幕した。
現世界王者で北京オリンピック金メダリストのネイサン・チェン選手、オリンピック2連覇でこれまで幾度となく頂点に輝いた羽生結弦選手はケガのため欠場。
そのため、誰が勝っても初優勝、新たな世界チャンピオンが誕生する記念すべき大会となる。
日本からはオリンピックメダリストの鍵山優真選手、宇野昌磨選手、さらにこの4年間で圧倒的成長を遂げた新生・友野一希選手が出場。
日本が誇る最強の布陣で世界の頂を目指す。

▶男子シングル日本代表はこの3人!

  • <p style="text-align: center;"><span style="font-size: 16px;">宇野昌磨</span></p>

    宇野昌磨

  • <p style="text-align: center;"><span style="font-size: 16px;">鍵山優真</span></p>

    鍵山優真

  • <p style="text-align: center;"><span style="font-size: 16px;">友野一希</span></p>

    友野一希

五輪銀

鍵山優真

全日本選手権で初めて表彰台に上がったジュニアラストシーズンから、新たな姿を見せるべく海外の振付師とタッグを組み、世界選手権銀メダルでオリンピックへの足がかりをつかんだシニア1年目。そして夢のオリンピック出場に向け、アクセル全開で駆け抜けたこの2021-2022シーズン。
かつて日本の次世代を担うホープと呼ばれた新星は、驚くべき速さで世界のトップスケーターへと上り詰め、初出場のオリンピックで銀メダル、日本フィギュアスケート史上最年少記録でのメダリストという栄光を手にした。

この恐るべき進化のスピードはオリンピックのさなかであってもとどまるところを知らず、初戦となった団体選フリーでいきなり自己ベストを10点以上も上回る会心の演技を披露し、チームの銅メダルに貢献。
2日後の個人戦ショートでは過密スケジュールをものともせず、高い加点が付くジャンプを連発。花が咲くような笑顔にとどめはウインクでジャッジとお茶の間を魅了し、ここでも自己ベストを更新。
2位で迎えたフリー『グラディエーター』では、背後にコロッセウムが見えるような気迫あふれる演技でプログラムの世界観に没頭。力強さの中に悲しみや苦悩まで事細かに表現し、スピンステップでは最高のレベル4を獲得。この大一番でも持てる力を出し切り、史上3人目となる300点を超えの得点で、銀メダルに輝いた。

すべての要素を高い質でオールマイティにこなし、安定感のあるジャンプを武器に躍進を遂げてきた鍵山選手。しかしオリンピックでは、シーズンが本格的に始まって以降投入していなかった自身3種類目となる4回転ジャンプ、4回転ループにも挑戦。さらに基礎点が1.1倍になる後半に4回転からの連続ジャンプを投入し、技術点の積み上げを図るなど、常に上を追い求めるチャレンジャー精神が栄光に繋がった。
オリンピックの余韻に浸ることなく、すぐに次なる世界選手権を見据え、練習を続けてきた1か月。モンペリエの地でついに戴冠なるかに世界中が注目する。

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五輪銅

宇野昌磨

2021年。ストックホルムにて開催された世界選手権を4位で終えた宇野選手。

大会終了後、ステファン・ランビエールコーチから掛けられた言葉は「世界一になるために何が必要か?」という未来のための問いだった。
導き出した答えは、4回転ジャンプを5本跳ぶという、自己最高難度の構成。
そのために今シーズンは、
平昌オリンピック以来プログラムに組み込んでいなかった4回転ループに再びチャレンジ。グランプリシリーズNHK杯では 大きな加点が付く出来栄えで着氷させ、総合自己ベストで優勝を飾った。
オリンピック代表選考を兼ねた全日本選手権では、直前にケガを負いながらも、自身に課した試練から逃げることなく、当初の予定通り4回転ジャンプ5本に果敢に挑戦。すべて成功とはならなかったが、気合で銀メダルをもぎ取った。

そして迎えた北京オリンピック。
団体戦の幕開けとなる男子ショートプログラムに先陣を切って登場すると、4回転フリップはもちろん、2つめのジャンプがダブルになることが多かった4回転トーループ+3回転トーループに成功。自己ベストでチームをメダルへと導いた。
個人戦のショートでもさらに自己ベストを更新し3位、フリーでは、大技4回転ループを高い出来栄えで成功。4回転5本という高難度構成をまとめ上げ、3位。2大会連続のオリンピックメダリストに輝き、自身3つ目のオリンピックメダルを手にした。

今回で6度目の出場となる世界選手権。
これまでの最上位は銀メダルで、ここ2大会は4位と、あと一歩のところで表彰台を逃している。
パーフェクトな演技でランビエールコーチから託された「ボレロ」を完成させたとき、悲願の初タイトルが見えてくるはずだ

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友野一希

友野一希がついに世界選手権の舞台へと帰ってきた。
4年前
。繰り上がりで出場した初めての世界選手権で自己ベストを大幅に更新し、5位入賞。翌シーズンの世界選手権の出場枠獲得に大きく貢献した。
この大会で一気に脚光を浴びた一方で、それは大会での成績との
ギャップに対峙する4年間の始まりを意味した。

新たな4回転ジャンプへチャレンジし、レベルアップを図るも、安定感に欠く試合もあった。練習の成果が本番で発揮できない悔しさにただ涙する試合もあった。
しかしそれでも、己の練習をひたすらに信じ、その差を少しずつ埋めてきた4年間。
その努力
はこのオリンピックシーズン着実に成果として現れ、ロステレコム杯では3年ぶりにグランプリシリーズの表彰台に。全日本選手権では5位とオリンピック代表入りは逃したが、それでも前に進み続けた結果、権威ある四大陸選手権で2位となり、チャンピオンシップス初のメダル獲得。2位という自己最高位に喜ぶことなく、悔しさをにじませたのも成長の証だった。

そして代表選手の相次ぐ欠場により、再びチャンスが巡ってきた。

この4年間で、自分だけのスケートの在り方を見つけ、世界と戦える確かな実力とともに挑む、2度目の世界選手権。

“史上最高”の自分を目指し、“史上最高”のプログラムを用意した、今シーズンの締めくくりにふさわしいこの大舞台。

直近のクープドプランタンで勝ち取った国際大会初の金メダルを自信に変え、世界のエンターテイナーがモンペリエで躍動する。

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▶各国の注目選手をご紹介

五輪5位

チャ・ジュンファン(韓国)

北京オリンピック直前の1月末、エストニアで開催された四大陸選手権でついに韓国男子シングル初のチャンピオンシップタイトルを獲得した稀代のヒストリーメーカー、チャ・ジュンファン。
ショート、総合得点で自己ベストを更新しての堂々たる金メダルは、韓国でも大きな話題となったが、そこからわずか2週間という短期間で臨んだ北京オリンピックにおいて彼が見せたのは、すべての得点で自己ベストを塗り替えての5位という歴史的快挙だった。

新型コロナウイルス感染症拡大以降、練習拠点のカナダに渡れず、一人で練習を続けてきた2年間。普段の朗らかな姿からは想像もできないほどストイックで自分に厳しい彼は、その逆境さえも力に変えて見せた。

ショートはファンが提案してくれたという「Cloak and Dagger」と、自ら選んだ「Fate of the Clockmaker」の2曲を使用。コンダクターとなり、複雑な音楽に色をのせていくかのように滑り上げるプログラムは、数多の名作が出揃うオリンピックシーズンにおいても一際異彩を放つ。
首の傾き一つでプログラムに華を咲かせる圧倒的存在感をもって、この難解なプログラムを見事操っている。
このショートは今シーズンほぼすべての試合でノーミス。
大会ごとにより磨きがかかる

珠玉の名作は、オリンピックでも99.51点という自己最高得点を記録。シーズンラストの世界選手権でついに100点の大台にのせることができるかも、見どころの一つ。


一方フリーの『トゥーランドット』は、ショートと対照的に伸びやかで優雅なスケーティングを堪能できるプログラム。
北京オリンピックでは冒頭の4回転トーループで転倒し大きく体を打ち付けたものの、すぐに立ち上がり、そこからはすべてのジャンプに加点がつく極上の演技を披露し、愛に焦がれる熱い思いを全身から迸らせた。
シーズンを通してノーミスまであと一歩という演技が続いているが、ミスがあっても引きずらず、すぐに立て直すことのできる強さが今季の飛躍を後押ししている。
すべてのジャンプを揃えたパーフェクトな演技ができれば、トゥーランドット姫の心だけでなくフランス・モンペリエの氷までも溶かしてしまうことだろう。

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団体銀

ヴィンセント・ジョウ(アメリカ)

2019年世界選手権銅メダリスト。
今シーズンはグランプリシリーズアメリカ大会で初優勝、NHK杯2位と、幸先のよいスタートを切った

全米選手権ショートでは完全無欠の演技を披露、フリーでは緊張もあり、得意の4回転ルッツをはじめ、ジャンプに乱れが生じて4位となったが、総合3位で北京オリンピック出場を決めた。

メダル候補の一人として出場した北京オリンピック。団体戦のフリー
で3位に入り、チームとして銀メダルを獲得。
しかしいよいよ開幕する個人戦を前に、新型コロナウイルス感染症陽性が判明し、残念ながら出場が叶わなかった。
自身のInstagramに投稿したメッセージ動画では、目を潤ませながら「もっと強くなって戻ってくる」と誓いを立てたヴィンス。
今シーズンのフリーは、3年前の世界選手権で銅メダルを獲得した『グリーン・デスティニー』。オリンピックでの悔しさを強さに変え
、世界王者を目指すべくヴィンスのカムバックショーが始まる。

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【五輪7位】ダニエル・グラスル(イタリア)

【五輪7位】ダニエル・グラスル(イタリア)

19歳で3連覇中のイタリアチャンピオン。世界ランキング1位で臨んだ北京オリンピックのフリーでは4位に入り、総合7位入賞。基礎点が高いループ、ルッツ、フリップ3種類の4回転を一つのプログラムに入れる高難度構成に挑む天才ジャンパー。ジャンプのみならず、柔軟性を駆使したスピンのバリエーションや、唯一無二の世界観で知られるブノワ・リショー氏振付の両プログラムにも注目。
【五輪10位】モリス・クヴィテラシヴィリ(ジョージア)

【五輪10位】モリス・クヴィテラシヴィリ(ジョージア)

ロシア出身のジョージア代表。エテリ・トゥトベリーゼコーチらのチームに所属。2020年欧州選手権で3位、2021年のロステレコム杯優勝など、ジョージアに新たな歴史を刻む27歳。182cmの高身長から繰り出される高さのあるジャンプは迫力満点。長い手足を使った優雅なスケーティングも魅力。ショートでは片手側転も披露。
【五輪13位】デニス・ヴァシリエフス(ラトビア)

【五輪13位】デニス・ヴァシリエフス(ラトビア)

1月の欧州選手権で4回転サルコーを着氷させ、念願のメダル獲得。北京オリンピックでは惜しくも4回転ジャンプ成功とはならなかったが、ステファンコーチのもとで磨いた美しいスピンに、情感たっぷりのスケーティングで魅力を発揮。前回オリンピックから確実な成長を見せ、13位に入った。ショートは、はやる気持ちを抑えきれない野性味あふれる『もののけ姫』。フリーはクラシックバレエの技術をふんだんに生かしながら、ロミオの慟哭を極限まで表現した『ロミオとジュリエット』。

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【五輪18位】ウラジーミル・リトヴィンツェフ(アゼルバイジャン)

【五輪18位】ウラジーミル・リトヴィンツェフ(アゼルバイジャン)

ロシア出身で、2018年よりアゼルバイジャン代表として活躍。端正なスケーティングと天性の華やかさで氷の上で存在感を放つ。フリーは映画『ジョーカー』のサウンドトラックを使用。恍惚とした瞳で軽快にステップを刻む姿はぞくぞくする美しさ。1月の欧州選手権ではフリー、総合で自己ベストとなる演技で8位入賞。初のオリンピックでは、ショートの自己ベスト更新。

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さらに今大会の台風の目となりそうなのが、アメリカ代表イリヤ・マリニン選手。現在17歳で、今シーズンジュニアグランプリシリーズで2連勝すると、1月の全米選手権でシニア選手を抑えいきなり2位に飛び込んだ逸材。ショートから4回転ルッツを跳び、フリーでは4回転ジャンプ4本の高難度構成でシニアの牙城へ攻め入る。

いよいよ開幕した北京オリンピック。フィギュアスケートでは、複数の4回転ジャンプに加え、技の完成度、芸術性、そのすべてを満たさなければ表彰台には届かないという、かつてないほどハイレベルな戦いが繰り広げられる。8日から始まる個人戦を前に、百花繚乱の男子シングルの注目選手をご紹介。
写真/アフロ  取材・文/轟木愛美 ※記録は注釈がない限り、ISU認定大会の得点を基準としています。北京オリンピック団体戦の結果は暫定的なものです。
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