【働く女性のヒット商品ストーリー①】新体験の応援購入サービス「Makuake」が生まれた理由とは?

@BAILA

「こんなものが欲しかった」。思わずそう声を上げたくなるヒット商品の数々は、実は、バイラ世代の女性たちが多くの壁や苦悩を乗り越えた末に生み出したものでした。ヒット商品に携わった女性たちの知られざる開発秘話をお届け! 新しい体験や未来的プロダクトの応援購入サービス「Makuake」。生みの親である坊垣佳奈さんの根底にあったのは「アナログの世界をよくしたい」という想いだったよう。

株式会社マクアケ 坊垣佳奈さん(共同創業者・取締役 38歳)

同志社大学卒業後、2006年に新卒でサイバーエージェント入社。ゲーム子会社などを経て、2013年にマクアケの立ち上げに参画。講演活動や地方創生にも尽力。

株式会社マクアケ 坊垣佳奈さん(共同創業者・取締役 38歳)

アタラシイものや体験の応援購入サービス「Makuake」
あっと驚く近未来のプロダクトや新しい体験の応援購入サービス。作り手の想いや製作の背景を知り、共感した上で購入することができる。「ウィンドーショッピングでの出会いのように、『あったら便利』と思えるものにたくさん出会えます」

Makuake ロゴ

インターネットの力を使って、アナログの世界をよくしたかった

日本には面白い産業がたくさんある

今でこそクラウドファンディングサービスはたくさん世の中にあるけれど、「Makuake」の最大の魅力は“応援購入”というわかりやすい言葉を打ち出したこと。

「日本人の多くは寄付サイトというイメージを持っていますし、ファンディングという言葉がつくことによって金融業界からすると資金調達というイメージも強い。でもどれも実態と違うんです。言葉だけが独り歩きして、それぞれが抱くイメージが違うことが大きな壁でした。そこを打破するために、2019年の東証マザーズ上場のタイミングで“応援購入”というオリジナルの言葉を打ち出し、オリジナルの市場を作りました

共同経営者として「Makuake」を設立したのは今から8年前。20代から広告会社やゲーム会社の経営者として才覚を発揮し、IT業界の真っただ中にいた坊垣さん。「クラウドファンディングの業態を使って新規事業を」という上司からのミッションを受けて考えたのは、意外にも「アナログの世界をよくしたい」ということだった。

「ITの世界はオンラインだけで完結する事業が多いのですが、広告をご提案する企業やものづくりをしているメーカーのリテラシーはそれほど高くない。地方に行くとなおさらでした。日本はもともと職人気質な方が多く、各分野を探求する力は強いですし、それぞれの土地で面白い産業がたくさん存在している。一方で、廃れつつある産業があることも事実なので、インターネットの力を使って技術や伝統といったアナログなものを広げていきたいと思いました」 

風通しのよさの秘訣カルチャーにあり

現在、「Makuake」の社員の男女比はほぼ半々。管理職や常勤経営陣の女性比率が半数を占める企業は、上場企業では珍しい。意思決定の場に坊垣さんがいることが大きく影響していて、「採用の段階から男女両方の目でフラットに進めるようにしています」という。 


「新しく会社に入ってきた方から『風通しがいい』と言われることがあるんです。たとえば生理痛ですごく体調が悪いときに『休ませてください』と言えたり、ライフステージが変わって『妊活のために病院通いが増えます』と言えるかどうかは、実は空気が関係している。制度やルールがあっても使いやすい空気がないと意味がないので、コミュニケーションが円滑であることが大前提です。そのために、社内ではカルチャーづくりに力を入れています」
 

成果主義のイメージが強いIT業界ながら、社員同士の横のつながりは強く、やはりどこかアナログ。 


「リモートで仕事をするようになってからも、毎朝10時にオンラインで朝会をしています。毎週司会者が代わるのですが、木曜日にはその人が個人的にめちゃくちゃ詳しいことを発表する時間を設けています。会社の中でゆるっとできるようにカフェを作ってバリスタに常駐してもらっていますし、部活動も推進しています。ビール部やワイン部、アニメ部やアウトドア部など25ほどあって、私は着物部と日本酒部に所属しています。『女性だから』『年下だから』といった区別を超えた差別は、こういう空気の中では生まれづらい。これからも、風通しのいい空気を醸成していきたいと思います」

ヒットの裏側を深掘り

あの日あの人と…ヒットにつながるコミュニケーション
いつ:打ち合わせの場で
誰と:お客さまと
何を:オンラインでの打ち合わせだけでなく、大阪、福岡、名古屋、広島と全国に支社があるので、担当者が実際にお客さまと顔を合わせて丁寧にサポートしています。Gメールで“全返信”ができない方にやり方を教えたことも(笑)。お互い、得意なことが違うだけととらえています

名場面PLAYBACK
想像力の重要性に気づいた
これは20代の頃、別会社でたくさんの部下ができたときに実感したこと。同じ事柄でも見る人の角度によってとらえ方が違うので、相手に寄り添う想像力はすごく重要視しています

プライベートでは
今年の4月に結婚しました
お互いの出張の予定に合わせ、前乗りして旅行をすることも。旅先にはウェアを持っていって朝にランニングをしています。その地域のものを食べたりする趣味が、仕事につながったりも

Q.仕事で大切にしていることは?

1.誠実さ 2.想像力 3.行動力
物事は基本的に、自分さえいいという発想では成果が出ないもの。お互いが気持ちよくWin-Winな状態で進められる条件は何かを、誠実に探るようにしています。もし部下が噓をついたりごまかしたりしたら見逃さず、めちゃくちゃ怒ります(笑)。まずは行動してやってみることも大切。戦略を練っている時間がもったいないし、やってみないとわからないことも多いので、行動してからチューニングするように

撮影/目黒智子 取材・原文/松山 梢美 ※BAILA2021年12月号掲載

PICK UP
RECOMMEND
April 20 Sat