【きょうだい円満のために】親の介護で心得ておきたい感情面&実務面のポイント3

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「介護の大変さの指標は人それぞれであいまいなもの。本人も自分の負担がどれくらいのものかわからず、過小評価しがちです。自分ひとりで抱え込まないで、適度な距離感を保ち、心の負担も軽くしておきましょう」(橋中さん)

【実務面】親の介護は「親のお金」を使う

ちょっとだけ、がズルズルと

「親の介護費用は絶対出しちゃだめ! いつまで続くかわからず、長期化すると金額も増えます」と橋中さん。介護費用は親の資産を当てるのが鉄則。きょうだいの誰かが出すことになれば、出していない人に不満が募るのは時間の問題。だからこそ介護前に、親の財産を把握しておく必要がある。親の年金や財産が少ない場合は担当ケアマネージャーに伝えれば、経済面を考慮したケアプランを作成してもらえる。
 

【感情面】きょうだい間で「平等は求めすぎない」と心得る

まったく同じ立場ではないから……

きょうだいに「平等に負担してほしい!」と思うことは当然のこと。けれども、「もっと介護に参加してよ!」と要求するのは逆効果。「強く言えば言うほど相手との心の溝が深まってしまいます」と橋中さん。きょうだいが遠方在住ならネット通販で必要なものを送ってもらうなど、できることや得意なことをお願いすることから始めてみては。
 

【実務面】「同居は極力しない」のが正解

世帯分離のほうが支援が受けやすい

親がひとり暮らしだと、同居して支えたいと思うかもしれないが、介護支援を考えると、別世帯のままのほうがいいという。「同居家族がいると、ひとり暮らしの高齢者より必要性が低いと判断されがちだからです」(橋中さん)。同居したばかりに十分なサービスを受けられなくなってしまっては本末転倒。親の家の近くにある地域包括支援センターに相談し、遠距離でも介護できる体制を整えよう。

教えてくださったのは
介護者メンタルケア協会代表 橋中今日子さん

介護者メンタルケア協会代表 橋中今日子さん

理学療法士・リハビリの専門家として病院に勤務。自身も介護経験があり、心理カウンセラーとして介護にかかわる人を心身両面からサポート。著書に『がんばらない介護』など。
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取材・原文/吉川明子 イラスト/カツヤマケイコ ※エクラ2021年7月号掲載
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